ここまで違う?!日本とヨーロッパの仕事観について
日本では1980年代からスタートした人材派遣の歴史。働き方のひとつのスタイルとして少しずつ浸透し、派遣に関する法律も時代に合わせて徐々に変わりながら今に至っています。
ところで海外にも派遣という働き方があることはご存知でしょうか?海外での仕事に対する考え方は派遣にしろその他の雇用形態にしろ、日本とはだいぶ違うようです。派遣は比較的新しい働き方のスタイルですが、そのスタイルを受け入れやすい国というのはそれなりの背景があります。今日はその中でも特に派遣が盛んなヨーロッパの仕事観について取り上げてみたいと思います。
まずは海外の派遣制度について。
海外ではどんな国でどのくらいの人が派遣で働いているのでしょうか?
アジア、ヨーロッパ、アメリカ、オセアニア、アフリカなど、世界各国43ヶ国もの国に派遣という働き方が存在します。各国の労働者のうち、派遣社員として働いている人の割合は0.5%~3%と言われています。
また、派遣会社の数は全世界では43ヶ国で26万社と推計されています。その中でも多いのはヨーロッパ、アメリカ、日本の3つの地域。ヨーロッパには5万社以上の派遣会社があるそうです。
(以上、参考;一般社団法人 日本人材派遣協会「世界の派遣」より)
ヨーロッパの仕事観
さて、派遣人口、派遣会社の数ともにダントツの数を誇るのヨーロッパの国々。派遣で働く人の割合が最も多いイギリスを筆頭に、ヨーロッパは派遣に対してとても柔軟な考え方を持っているように思います。これには何か秘密があるのでしょうか?ここでヨーロッパの仕事観を見てみたいと思います。
派遣大国イギリス
イギリスは派遣労働者数の割合を見ると世界トップの水準。派遣会社の数もヨーロッパの中で特に多いです。
イギリスでは「半年間働き、1ヶ月休暇を取る」といった自由な働き方を選ぶ人もいるとのこと。それだけ働き方に対する考え方が自由ということでしょうか。
このように自由なライフスタイルを得るために派遣という働き方を選ぶ人もいて、高いスキルを身につければひとつの契約が終わってもすぐに次の仕事が見つかる、ということも普通なようです。
ヨーロッパでは派遣の仕事はあくまで一時的に労働力を補うための手段、という考え方が主流です。たとえば正社員が産休に入る、怪我などで一時的に休暇を取るなど、一時的に増えた仕事のために企業は派遣労働者を雇います。そしてその一時的な仕事が終了したとしても、雇用も同じく終了するわけではありません。労働者は原則として期間の定めなく雇用されているという考え方なのです。これは日本での派遣の考え方と異なるところですね。
世界一労働時間が短い??フランス
フランス人の仕事に対する考え方は「時間内にできることは時間内に終わらせる」ということです。日本の法定労働時間が週40時間なのに対し、フランスは35時間、年間にすると300時間も短いことになります。
短いからといって簡単な仕事を適当にしているというわけではありません。就業時間内に絶対に仕事を終わらせるために最大限の効率を考えて働いているのです。
また、フランスでは有給休暇は必ず消化しなければならず、しなかった場合は使用者に罰則があるそうです。労働者にとってはなんともうらやましい待遇ですね!
残業がないオランダ
なんと、オランダでは残業することが法律で禁止されています。労働時間は最大で朝9時から夕方5時までの8時間。
そうなると時間内で対応しきれない仕事はどうなるのかという疑問がわいてきますが、オランダではそれを「ワークシェアリング」という仕組みで解決しています。ワークシェアリングとは労働時間を短縮して仕事を何人かの人で分担すること。こうすることで1人の人にかかる長時間労働の負担を取り除いているのです。
また、週休3日は当たり前。土日に加えて平日を1日休むのが普通なんだそうですよ。
仕事の「量」より「質」重視のドイツ
ドイツの仕事のスタイルは短時間労働。職種に関わらず、長時間労働は会社から評価されません。よりよい仕事のためには家族との良い関係や創造力が必要で、そのためにオフィス以外で過ごす時間が大切だと考えられているからです。
しかしすべての人が合理的効率的に仕事をしているかといったらそうではなく、のんびりとしている感じもあるそうです。つまり個人が個人に与えられた仕事をきっちりしさえすればいい、という考え方が強いのです。
社員1人1人に与えられている役割分担がきっちりしているので、「仕事に追われている」という感じがないそうです。1人1人が自分に与えられた仕事を自分の裁量でこなすがゆえに、必然的に仕事が回りやすくなるという循環がなされているのですね。
まとめ
こうしてみると、ヨーロッパ人の仕事に対する考え方は日本人の考え方と比べてずいぶん自由な感じがしますね。地域全体的に「働くときには働き、休むときは休む」ということをモットーとしているようです。
そしてそれができるようにさまざまな仕組みを考え、個人としても効率性を重視した働き方ができるように努力する姿勢を垣間見た気がします。
組織の中で和を重んじながら協調して働く日本人と、個人として自分の責任のもとで仕事を進めることで組織全体を成り立たせるヨーロッパ人。そのような違いがあるように感じました。