「5S」って何?~工場系のお仕事に役立つ基礎知識~
5Sという言葉を耳にしたことがありますか?製造の仕事に関わっている人なら一度は聞いたことがあるかもしれませんね。製造業以外の様々な現場で使われる言葉でもあります。これから工場系のお仕事をしようとしている人も、すでに始めている人も知っておくと役に立ちますよ。一体どんなものなのでしょうか?
5Sとは?
整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)の5つの言葉の頭文字「S」を取ったもので、職場環境をより良く改善、または良い状態を維持していくためのスローガンです。特に製造業において工場内を管理するためのやり方として取り入れられることが多いですが、さまざまな業種に広がっているようです。
ではひとつひとつ見ていきましょう。
整理
ものを必要なものと不要なものに分け、不要なものは処分すること。
整頓
ものの位置や置き方を決め、いつでも取り出せるようにすること。
清掃
機械や身の回りのものの掃除をし、いつでもきれいな状態にしておくこと。
清潔
整理、整頓、清掃した状態を続けて保つこと。
躾
決められたルールや手順を守るように習慣付けること。
5Sと美化活動はどう違うの?
整理、整頓、清掃、などという言葉が出てきましたが、職場でそのような美化活動をするのは当たり前のことなのでは?と感じた方も多いでしょう。会社で掃除当番があったり、大掃除の日があったりする、というのはよく聞く話ですよね。では美化活動と5Sとは何が違うのでしょうか?
5Sの大きな特徴は先ほど見てきた5つのSについて「徹底的に」「組織的に」取り組むことです。
●たとえば整理の項目では「赤札」と呼ばれる赤いシールが使われたりします。要らないものに赤いシールを貼っていき、不要なものをあぶり出すという作戦です。捨てる、捨てないなどの基準も、例えば「半年以上使っていないものは捨てる」などと社内で基準をしっかりと決め、とりあえずそのままにしておくものがないようにします。
●整理をして必要なものだけが残ったら、次は整頓の作業です。ものの置き場所や位置を決めたあと、ラベルや看板などを使ってそのものが何であるのか「表示」をします。
●清掃の項目では「何を清掃するのか」、「担当は誰なのか」、「清掃方法はどうするのか」などを明確に決め、社員がそれを守れるように工夫をします。
●清潔の項目においては、それまでの整理、整頓、清掃で実行し決めたことができているか定期的にチェックし、その状態が維持されるようにします。
●躾はこのような多くの決まりごとを社員全員ができるようにルールを作り、習慣化して活動に取り組めるようにします。
このように5Sは単に「社内をきれいにする活動」とは大きな差があります。本格的に取り組んでいる職場では工場長や社長などのトップが全社を挙げての取り組みとして自ら行うことが多いようです。
5Sの効果
少し大掛かりで大変にも思える5S。これを実践することによってどういうメリットがあるのでしょうか。
ムダをなくすことで業務を効率化する
ムダをなくし、業務を効率化すること。それが5Sの本来の目的であるようです。
ムダをなくすポイント
1、分ける
“整理”は必要なものと必要でないものに分けること。まさにムダでないものとムダなものを区別することです。
例えば、必要もないのに何ヶ月も放置されているものはムダにスペースを消費しています。しかもそれが置かれていることによって本来スムーズに行われるはずの作業が妨げられている場合もあります。
また、不要なものが多いと必要なものまで埋もれて見えなくなってしまい、その結果、本当は必要ないのに新たに買うものを増やしてしまったりすることにもなりかねません。
2、在り処を明確化する
“整頓”はどこに何があるか明確化すること。それによって探す「ムダ」が減ります。たとえば工場内で必要な工具や指示書、部品類。これらがどこにあるかわからず、いつも探し回っている状態を考えてみてください。明らかに効率が悪いですよね。
3、いつも気を配る
“清掃”は作業場や道具などを掃除することですが、それはきれいにするだけではなく「メンテナンス」の意味も含まれます。丁寧に掃除をしているとちょっとした異変にも気がつきやすく、すぐに対応することができます。また常によい状態を保っているならば、機械や道具も長持ちし、修理などにかかる費用を抑えることが期待できます。
まとめ
工場はもちろん、さまざまな業種の現場で取り組まれている5S。このように、職場を美しくしようという単なるスローガンにとどまらないことがわかります。職場によっては全社を上げてこの5Sに取り組んでいるところもあり、実践するためのノウハウも多く研究されています。
さらに、これは仕事とは関係ないところでも応用できそうですね。たとえば家の片付けをするときにも役に立ちそうです。常日頃から実践していると5Sの意識が身につき、職場でも注目されるかもしれませんよ。ぜひ参考になさってください。