滋賀のご当地野菜のススメ
日本は言わずと知れた農業が盛んな国です。南北に長く広がった島国だけに、地域ごとに育てられる農作物が異なることが特徴のひとつ。先人たちの知恵と工夫で生き残ってきた農作物からは、地域の味わいを感じられます。SDGsや地産地消という考え方が浸透する中、せっかくなので滋賀の美味しいご当地野菜を味わってみませんか。
そもそもご当地野菜って?
おおむね明治よりも前から、その土地の気候や風土を活かして栽培されている野菜のことです。伝統野菜とも呼ばれています。伝統野菜をもとにした郷土料理や保存食も、各地で作られており、地域の歴史や文化を知ることができます。
明治以前から育てられてきた滋賀のご当地野菜
内陸に位置する滋賀は、基本的に内陸性の気候で、近江南部は温暖な太平洋側気候です。いっぽう湖北や近江西部は、日本海から吹き込む冬型の季節風の影響を受けやすく、冬期には雪による降水量が多い日本海側気候です。
比較的、水田率が高いため水田農業が主体ですが、近江商人たちが全国から持ち帰った野菜を守り育ててきた歴史があるため、伝統野菜の宝庫になっています。「近江の伝統野菜」は、以下の定義で認定され保護されています。
◎原産地が滋賀県内で、おおむね明治以前に導入された歴史がある
◎外観や形状、味などに特徴がある
◎確実に種子が保存されている
近江野菜の代表格
■日野菜(ひのな)
滋賀県蒲生郡日野町鎌掛が原産の、カブの一種です。苦味と辛味を含んだ風味が特徴。根の上部が紅紫色で、下の部分が白色で、鮮やかな色彩が印象的です。日野菜を使った日野菜漬けは、滋賀県名物の漬物として高い知名度を誇ります。漬物以外にも、揚物やサラダに使っても美味しいです。
■坂本菊(さかもときく)
大津市坂本地域で生産されています。古くは平安時代から栽培されていたのだとか。シャキシャキとした食感が特徴で、お浸しや酢の物、サラダ、添え物などに使われています。
■弥平とうがらし(やへいとうがらし)
湖南市下田地区が生産地です。光沢のある鮮やかなオレンジ色の実で、強い辛みが特徴です。強烈な辛さの中にただようほのかな甘みと、鼻をすっと抜けるような芳醇な香りがあり、食欲がそそられます。辛さを活かして、カレーやピリ辛スープに加えるのがおすすめです。
近江野菜を買ってみよう
日野菜など、滋賀が発祥で今では全国の幅広い地域で栽培されている野菜もありますが、やはり地域で栽培された野菜を食べたほうが美味しいものです。近江野菜を手に入れるには、道の駅や産直広場、ファーマーズマーケットなどがおすすめです。また、農家さんによっては軒先で朝どれ野菜を販売していることも。散歩やサイクリングをしながら、軒先めぐりをするのも楽しいですね。
<まとめ>
いかがでしたか?ご当地野菜は朝どれの新鮮な野菜が多く、野菜本来の旨味や甘みを感じることができます。地元で生産されたものを地元で消費する「地産地消」という考え方が広まる今、ぜひ滋賀県の伝統野菜を味わってみてくださいね。季節ごとの野菜もあるので、日々の食事がきっとさらに楽しくなるはずです。